【保】コロナ禍で「妊娠や子育て」そして「望まない妊娠」の相談が増加。 相談員の困難とは? 厚労省指定の「妊娠COVID-19相談窓口」への全国調査の報告書が完成(2021年5月27日)

【保】コロナ禍で「妊娠や子育て」そして「望まない妊娠」の相談が増加。 相談員の困難とは?
厚労省指定の「妊娠COVID-19相談窓口」への全国調査の報告書が完成

(2021年5月27日)

1.取り組みのポイント

  • 「妊娠中だけど、ワクチンを接種すべき?」「変異型ウイルスには、小さな子もマスクが必要?」新型コロナウイルスに関して種々の相談が寄せられています。
  • 2020年5月7日、厚労省は、都道府県等に「妊婦への新型コロナウイルスに関する相談窓口」の設置を要請しました。(現在、都道府県の窓口124か所、政令指定都市の窓口113か所、中核市の窓口57か所が指定)
  • 感染対策をしての相談業務、国や自治体からの情報が入らない中でベテランの相談員でも苦慮する姿が見られます。
  • 厚労省指定の相談窓口が抱える困難の実態を明らかにし、対応策を考えるため、承諾の得られた全国の相談窓口に対して調査を実施し、2021年4月、報告書にまとめました。

2.詳細

 2020年8~9月(新型コロナウイルス感染拡大第2波の中)、承諾の得られた全国の相談窓口62施設、相談員230名に対して、質問紙調査を実施しました。
 「コロナ禍における妊娠・出産」に関する相談として多かったのは「帰省分娩(里帰り出産)の制限」「新型コロナウイルスの妊婦への影響」「立会い分娩の制限」「両親学級・母親学級の中止・延期」で、特に感染多発地域(調査時の13都府県)では、このような相談は高率でした。また、感染多発地域で「PCR検査」についての質問に約5割の相談員が回答できなかったとしていました。PCR検査体制は十分とは言えず、また、妊婦のPCR検査への経費補助も自治体により様々であり、自治体からの情報提供は不十分な状況が見られていました。現在は、さらに、変異ウイルスを確定する検査、安価な抗原検査との使い分け、さらに、妊婦へのワクチン接種に関する質問などに答える必要があり、厚労省や自治体からの情報提供が求められています。 
 「コロナ禍における育児」に関する相談としては、「新型コロナウイルスの子どもへの影響」「乳幼児健診・予防接種受診時の感染リスク」「育児情報の入手困難」に加えて、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「産後うつ」「子どもへの愛着不全」など、子どもへの虐待につながりやすい相談や、在宅勤務が広がる中でかえって目立つようになった「夫の育児不参加」に関する相談が比較的高率に見られていました。最も高率に「回答困難」とされていたのは、「経済状況の悪化による育児費用への不安」であり、経済的支援のない自治体の相談員は困難を感じていると考えられます。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、相談窓口が行っていた従来の相談業務も忙しくなっており、「メンタルヘルス」に関する相談が最も増加ししていました。特に、感染多発地域で増加が大きかった相談内容は、「メンタルヘルス」「望まない(予期しない)妊娠」「若年妊娠」「妊娠中絶」「不妊(この時期に妊娠してよいのか等)」「緊急避妊」「児への心理的虐待」「児への身体的虐待」などでした。若年の女性による「望まない(予期しない)妊娠」やそれに関連する「妊娠中絶」の防止、「緊急避妊」の啓発など、相談窓口と産科医療施設等との連携も重要です。

「Withコロナ/Postコロナ時代に子どもを持つこと」は新たな重要課題です。中塚研究室では、多くの研究者や学生がリプロダクションやジェンダーについて研究しています。
気軽にご連絡ください。https://www.okayama-u.ac.jp/user/mikiya/

3.発表者(問い合わせ先)

学術研究院保健学域 中塚研究室 教授 中塚幹也

4.関係資料

<詳しい研究内容について>
コロナ禍で「妊娠や子育て」そして「望まない妊娠」の相談が増加。 相談員の困難とは? 厚労省指定の「妊娠COVID-19相談窓口」への全国調査の報告書が完成

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