【医】人工知能を用いた新型コロナ肺炎の画像診断システムの有用性を検討する研究を開始(2020年6月26日)

【医】人工知能を用いた新型コロナ肺炎の画像診断システムの有用性を検討する研究を開始

(2020年6月26日)

1.取り組みのポイント

  • 人工知能を用い胸部X線画像から新型コロナ肺炎を検出するシステムを開発しました。
  • 新型コロナ肺炎が疑われる患者にはPCR検査後に主にCTによりトリアージが行われていますが、施行できる医療機関が限られていることが問題です。
  • 本システムの有用性が確認され、実用化されれば通常のX線撮影画像の読影を補助することで、専門医・非専門医問わず新型コロナ肺炎検出を容易にし、COVID-19検査(トリアージ)体制の拡充に貢献することが期待されます。

2.詳細

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の河原祥朗教授(実践地域内視鏡学)、株式会社両備システムズの研究グループはカナダのウォータールー大学、DarwinAI社によって開発された人工知能(AI)をプログラム活用し、胸部X線画像から新型コロナ肺炎を検出するシステムを開発しました。この度岡山大学病院倫理委員会の承認を受け、このシステムの有用性を検討する研究を開始します。
 新型コロナウイルス感染症を多く経験した医療機関と連携し、新型コロナ肺炎の患者さんの胸部X線写真を集積し、正常な胸部X写真も含めて本システムの診断性能を検証します。
 本研究により、同システムによる新型コロナ肺炎の診断における有用性が証明されれば、CT、PCRなどさらなる精査が必要となる的確な患者の拾い上げ、絞り込みに大きく貢献できると考えます。さらに、新型コロナ肺炎は、パンデミックが終息した後は、市中肺炎として季節ごとに蔓延することが予想され、専門病院以外のクリニック、一般病院や、専門医以外の医師でも本疾患に遭遇する機会が増加すると思われます。そのような場面において、専門家以外でも診断のばらつきが減り、正診率が向上することで、患者さんが適切な治療を受けることができると思われます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により医療現場には多大な負担がかかっています。特に最前線で診療を行う医療従事者はその診断、トリアージなどに大変難渋しています。本邦では現在感染はやや収まっているように思われますが、世界中でまだまだ感染が拡大しています。本システムが実用化すれば日本のみならず世界の新型コロナウイルス感染症の診療に貢献できるものと期待しています。

3.発表者(問い合わせ先)

学術研究院医歯薬学域(医) 実践地域内視鏡学講座 教授 河原 祥郎

4.関係資料

<詳しい研究内容について>
人工知能を用いた新型コロナ肺炎の画像診断システムの有用性を検討する研究を開始

システムのデモ動画はこちらをご覧ください。

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