【医】武田/モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン追加接種(3回目接種)後発熱と抗体価の関連についての報告

武田/モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン追跡接種(3回目接種)後発熱と抗体価の関連についての報告

(2022年9月29日)

1.取り組みのポイント

  • 岡山大学における大学拠点接種で行われた、武田/モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン3回目接種後の発熱の有無とその後のIgG抗体価の推移を評価する研究を実施。岡山大学教職員及び学生の合計49人の協力を得た。
  • 接種後発熱群では、ワクチン接種後1週間のIgG抗体価の上昇が有意に早くなっていた。一方、ワクチン接種後の発熱の有無は、接種1カ月後の高IgG抗体価との関連を認めなかった。接種後発熱がある群では接種後早期の抗体価の上昇が早いものの、臨床的な意義は低いと考えらる。

2.詳細

 岡山大学の学生および教員を対象に、武田/モデルナ社製新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)後の発熱の有無によって、接種後早期のIgG抗体価の推移に違いがあるかどうかを比較しました。ワクチン接種により上昇するS-RBD IgG抗体は、新型コロナウイルスに対する中和活性とよく関係し、感染や重症化を防ぎます。本研究は、2022年3月に岡山大学で武田/モデルナ社製新型コロナワクチンの3回目接種を受けた大学教員、職員、学生のうち、研究参加へ同意した計49人を対象に行われました。接種後1週間の副反応を聴取するとともに、接種直前、3日後、1週間後、1カ月後に指先全血サンプリングでS-RBD IgG抗体価を測定しました。
 少なくとも2回の採血を行った47人(発熱群24人、非発熱群23人)のデータを解析したところ、接種後発熱群では、ワクチン接種後1週間のIgG抗体価の上昇が有意に早くなっていました。一方で、ワクチン接種後の発熱の有無は、接種1カ月後の任意のカットオフ値(25000 IU/mL)以上のIgG抗体価上昇とは関連を認めませんでした。このことから、接種後発熱がある群では接種後早期の抗体価の上昇が早いものの、臨床的な意義は低いと考えられました。
 本研究結果は8月27日「Journal of Epidemiology」誌に掲載され、巷に流布する疑問に一定の見解を与えるものと思われます。

 新型コロナウイルスワクチン接種後の発熱は一定頻度で見られますが、接種後発熱の有無と抗体価の上昇の関連については知見が不足しています。 武田/モデルナ社製ワクチン3回目接種を受けた人を対象にした本研究結果からは、接種後に発熱があった人は接種後1週間のIgG抗体価上昇が早くなるものの、接種1カ月後の高IgG抗体価との関連は明らかではありませんでした。接種後に発熱があっても無くても効果は期待できると思われます。今後の接種の参考にしていただけますと幸いです。

岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医)  疫学・衛生学分野
教授 賴藤 貴志
助教 松本 尚美
 岡山大学病院 総合内科・総合診療科
 准教授 萩谷 英大
 岡山大学 保健管理センター
 助教 樋口 千草

4.関係資料

<詳しい研究内容について>
武田/モデルナ社製新型コロナウイルスワクチン追加接種(3回目接種)後発熱と抗体価の関連についての報告

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