ARTプログラム

ARTプログラム Advanced Research Training program

ARTプログラムによる医学研究者育成ARTプログラムとは、卒後臨床研修1年目から大学院博士課程への入学を可能にしたことで、学部と大学院をシームレスに連結し“研究医とリサーチマインドを有した臨床医を育てる”岡山大学独自のキャリアパスプログラムです。全国に先駆けて2009年4月から始動しています。
岡山大学病院(先進プログラム、産科婦人科・小児医療特別プログラム、基礎研究医プログラム)と岡山市立市民病院の初期研修医は、ARTプログラムを選択することで、岡山大学医歯薬学総合研究科博士課程に入学できます。卒後臨床研修と大学院での研究活動を両立させることによって、早期の博士号取得を目指します。

岡山大学医学部医学科生は、3年次からPre-ART生(博士課程科目等履修生)として、大学院講義の先取り履修ができます。学部時代に研究活動を行うことも奨励しています。研究成果を毎年開催されている「西日本医学生学術フォーラム」で発表することができます。自著の原著論文が欧文誌に投稿受理された場合,その論文を学位論文として博士課程大学院課程修了規程等に基づき申請できる特別な制度も設けています。
研究志向の学生がキャリアパスについて相談できるよう鹿田キャンパス記念会館2階 に「ARTプログラム推進室」が設置されています。相談内容は守秘義務により保護されますので、安心して相談していただけます。なお相談の際に事前に連絡してください。(問い合わせ先:art_info@adm.okayama-u.ac.jp)

Pre-ART生の出願要項と出願様式はこちらから!
 ☆2024Pre-ART科目等履修生出願要項
 ☆2024Pre-ART科目等履修生出願書類(新規の方用)
   ☆2024Pre-ART科目等履修生出願書類(継続の方用)
 ☆研究指導計画書  
 ☆ポスター

ARTプログラム特別入試

ARTプログラム奨学生制度

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科は、ARTプログラム大学院生の修学を支援するため、積善会教育研究助成事業による寄附を受け、ARTプログラム奨学生(貸与型)制度および基礎研究医プログラム奨学金(給付型)制度を設けています。

ARTプログラム奨学生(貸与型)

対象者 ARTプログラムにより岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(博士課程)に入学予定の者
募集人数 10名程度
奨学金の額 50万円(入学年度に限りを貸与。学位取得後の2年間に返還していただきます。)
募集期間(申請期間) 2024年3月13日(水)~14日(木)
申請手続

希望者は、大学院医歯薬学総合研究科等事務部 学務課教務グループ大学院担当を通じて、以下の申請書類をARTプログラム奨学生運営・選考委員会(以下「委員会」という。)に提出してください。

選考及び結果の通知 申請書類に基づき委員会が審査選考を行い、結果は本人に通知します。
報告書の提出 奨学生は、2025年2月末までに教育研究成果報告書(様式3)をご提出ください。
※ARTプログラム関連の調査や報告等のため、報告書は公表される場合があります。
在籍確認 基準日(5/1)に、奨学生の研修医及び大学院生としての在籍状況を確認します。両者の在籍状況が確認できた者について奨学金を貸与します。
その他 ARTプログラム奨学生申請書等に記載されている個人情報は、選考に係る業務とARTプログラム推進に係る業務に使用します。また、提出書類は如何なる理由があっても返還しません。
申請書類の請求先、提出先及び照会先 〒700-8558 岡山市北区鹿田町二丁目5番1号
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 大学院担当
TEL:086-235-7986
E-mail : art_info adm.okayama-u.ac.jp

基礎研究医プログラム奨学金(給付型)

対象者 ARTプログラム特別入試により岡山大学医歯薬学総合研究科(博士課程)に入学予定の者かつ、
基礎研究医プログラムに採用予定の者
募集人数 1名
奨学金の額 50万円(入学年度の1回のみの支給)
募集期間(申請期間) 2024年3月13日(水)~14日(木)
その他

・募集要項は対象者に別途送付します。
・基礎研究医プログラムについては、以下をご参照ください。 
         岡山大学病院卒後臨床研修センター_基礎研究医プログラム

先輩の声

ARTプログラムによる医学研究者育成

2013年2月~ 日本学術振興会海外特別研究員(イタリア・パドヴァ大学)
2012年9月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程修了(細胞生理学分野)
2009年3月 岡山大学医学部医学科卒業

私は岡山大学医学部を2009年に卒業し、現在は基礎研究医としての研鑽を積んでおります。本コーナーでは研究医養成コースに参加する学部学生がその取り組みを紹介するということが主目的であるようですが、私は岡山大学が全国に先駆けて開始したARTプログラムの第1期生であるということから、この度執筆の機会を頂戴することとなりました。そこで、本稿においては基礎研究を志すようになったきっかけから、ARTプログラムで学んだこと、さらにそれらをもとに学部学生のみなさんにお伝えしたいことなどを記載したいと思います。

■研究を始めたきっかけ
私は今でこそ研究に没入していますが、医学部に入学してから2年間は全くと言って良いほど「無気力」な学生であったように思います。正確には、入学したての4〜5月ごろは「何かわからないけど、何かやるぞ!」というような曖昧な気概があったように記憶していますが、部活やら講義やらに忙殺されるうちにただただ日々の生活が流れるままとなっていました。そんな受け身の学生生活に大きな変化が訪れたのは、3年次にあった教室配属(医学研究インターンシップ)で細胞生理学教室にて初めて基礎研究にふれたときです。そのときは「Cdk5/p25による神経細胞死のメカニズム」に関する研究の一端としてアデノウイルスベクター作成や初代神経細胞培養などの手技を学びましたが、御指導下さった先生方の研究に打ち込む姿を見て、研究に対する漠然とした憧れが確固とした目標となりました。私たちの大学では3ヶ月ほどで教室配属は終了しますが、その後も早朝・放課後・深夜などの時間を利用して研究室で研究を継続しました。その理由としては、新しい事象を発見するという過程が面白かったということと、教授をはじめ先生方が私に対して、基礎研究者として必要なノウハウや考え方を技術面以外にも総合的に指導してくださったことが大きいと思います。さらに研究室内に机と実験ベンチを確保して下さり、いつでも実験研究をしてよいという有り難い環境を与えて下さったため、研究室の居心地が非常に良かった事も大きな要因でした。

■ARTプログラムだからこそわかった基礎研究の必要性
その後医師国家試験の直前まで研究を継続していましたが、無事に医師免許を取得し、ARTプログラムという岡山大学で新たに始まったプログラムで初期研修を開始しました。ARTプログラムは「大学病院での研究と大学院教育を並行して両立すること」を主目的としていますが、正直に申しまして実際に研修が始まった直後は両方の環境になれるまでに少し時間がかかりました。特に実験が遅々として進まないことは強いストレスとなりました。しかしながら、初期臨床研修で得られた知識や経験は何事にも変えられない大変意義深いもので、現在取り組んでいる基礎研究のモチーフとなっています。私が研修を通して痛感したのは「治らない病気がいかに多いことか!」ということでした。初期研修の主目的が医師として働くためのノウハウ取得であることは言うまでもありませんが、そのときすでに基礎研究医となりたいと考えていた私にとっては、こうした「不治の病」を真正面から見据えることで「臨床に還元できる基礎研究を一歩でも進めたい」というモチベーションを高める意味もあったと思います。

■基礎研究医は貧乏???
先述の通りARTプログラム第1期生であったという経緯から、同様のプログラムを新たに立ち上げた大学で開催されるセミナーでなどお話をする機会があるのですが、その質疑応答の際に必ずといっていいほど学部学生の方が質問されることがあります。「基礎研究に興味あるのですが、お金のことが心配です」「同期の方と比べられて、給料は遜色ないでしょうか」これらは実際にセミナーに集まった学部学生から尋ねられたものです。これほどまでに「お金」が基礎研究志向に影響するものかと考えると残念ではありますが、現実的には全く困りません(実際に基礎研究医の先生をみればわかりますし、上をみればきりがありませんし)。「研究者は清貧たるべし」とは決して思いません。もし学部学生のみなさんの中でそういった心配を抱く方がおられましたら、身の回りの基礎研究医の先生に尋ねてみるのが一番よいと思います。人それぞれ考え方は違うと思いますが、私はやりたいことを最優先に人生設計するべきだと思います。

■将来への抱負
私はJSPS(日本学術振興会)の海外特別研究員のグラントをいただいて、今春よりポスドクとしてイタリアのPadova大学Stefano Piccolo研究室に留学する予定であり、現在はその準備を行っているところです。留学から帰った際には、やはり臨床に応用できる基礎研究に従事したいと考えています。同時に、より多くの医学部学生が基礎研究医を志すよう医学教育にも従事できたらいいなと思ってもいます。ちょうどARTプログラムの存在が「私の歩みたい道の案内人」となり、また、お世話になった先生方が背中を押してくださったように、日本の医学研究の推進に少しでも貢献したいと考えております。

■学部学生のみなさんへ
一口に基礎研究医といっても、純粋に生命の根幹を探求する研究に従事される方もおられますし、臨床に還元できるような研究に取り組んでいる方もおられます。動機がどういうものであれ、皆さんが医学部に進学されたということは「人々の健康のために何らかの貢献をしたい」と考えてのことだと思います。アプローチの仕方は様々ですが、基礎研究の充実が将来の医療に貢献できるかもしれないと考えれば、大変やりがいのあるものだと思います。

私が学部学生・博士課程でお世話になった細胞生理学教室のバルコニーからは附属病院が見えます。夜、息抜きにバルコニーから見える病棟の灯りは私にとって研究を継続する動機であり叱咤激励であります。

Q&A

岡⼭⼤学病院または岡⼭市⽴市⺠病院で卒後臨床研修を受けながら、研修 1 年⽬から⼤学院博⼠課程への⼊学が可能な “学部と⼤学院をシームレスに連結する” キャリアパスプログラムです。ARTプログラム(Advanced Research Training program)では、卒後臨床研修と⼤学院での研究活動を両⽴させることで、早期の博⼠号取得が⽬指せます。

はい。どちらも対象です。
8月下旬に第1回⼤学院⼀般⼊試が、翌年1⽉下旬に第2回⼤学院⼀般⼊試が実施されており、どちらもARTプログラムの対象です。この2回の⼤学院試験のほかARTプログラムを利⽤して⼤学院進学を希望される⽅だけが出願できるARTプログラム特別⼊試(7⽉中旬実施)もあります。出願希望の⽅は、医学部記念会館2FのARTプログラム推進室(art_info adm.okayama-u.ac.jp / tel:086-235-6540)にご相談ください。

はい。どこの大学出身の方でも、全ての医学科卒業見込みの方(及び卒業生)が対象です。岡山大学病院または岡山市立市民病院で卒後臨床研修を受けながら、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程へ入学することが可能です。

ART プログラム奨学⾦制度は、岡⼭⼤学病院または岡⼭市⺠病院で卒後臨床研修を⾏いながら岡⼭⼤学⼤学院医⻭薬学総合研究科に⼊学される1年⽬の⽅だけが対象です。4⽉⼊学の⽅は3⽉に10⽉⼊学の⽅は9⽉に、大学院入学手続きと同時に奨学生申し込みを受付ます。ARTプログラム奨学⽣採⽤可否に関しては、「運営・選考委員会」の審議により決定されます。

他の協⼒型研修病院で研修を受ける場合は、研修先病院所属⻑から、⼤学院在学について承諾を受ける必要があります。承諾を受けることができない場合は、「⼤学院を休学する」または「卒後臨床研修センターから、⼤学院在学が可能な近隣の病院を紹介してもらう」ことが必要となります。

お問い合わせ先
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
ARTプログラム推進室
TEL:086-235-7986
E-mail:art_info adm.okayama-u.ac.jp